ほんの木、久々の歴史小説です
江戸時代、世界地図に衝撃を受け、兵学を説いた奇人を描いた約500頁の長編歴史小説
混迷が深まっていく近年の世界情勢の中で、林子平という「奇人」の生き方と思想は、私たちに何らかのヒントを与えてくれるかもしれない。
- 内容
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江戸時代、世界地図に衝撃を受け、兵学を説いた奇人を描いた約500頁の長編歴史小説です。著者は俳人・作家の本間俊太郎さん。ほんの木と30年以上の関わりのあるベテラン編集者戸矢晃一さんのプロデュース企画です。本間さんが長年、同人誌で書き留めていたものを渾身の一冊にまとめました。
目次
序 章 林子平の墓
第一章 子平の家系と父の出奔
第二章 父の刃傷とその後
第三章 戦う場のない武士
第四章 飛花落花の暗転
第五章 嘉善を中心にした林家
第六章 仙台藩主・宗村の藩政と最期
第七章 子平の建白書
第八章 遊学の旅へ
第九章 新たな刺激
第十章 長崎で世界と出合う
第十一章 世界地図と兵学
第十二章 長崎の暮らし
第十三章 仙台、江戸、長崎を
股に掛けて
第十四章 経済先進地への視察
第十五章 田沼意次に渡された
『赤蝦夷風説考』
第十六章 『三国通覧図説』刊行なる
第十七章 予期せぬ転落
第十八章 最期の日々
終 章 「海国」日本の先駆者
著者について
元宮城県知事、俳人、作家
ISBN
978-4-7752-0150-3
出版年月日
2025年3月15日
判型・ページ数
A5サイズ・480ページ
編集者 戸矢晃一さんからのメッセージ
林子平は、国内の移動が制限されていた時代に長崎に3度、さらに蝦夷から薩摩まで歩き、カラフトから琉球、小笠原諸島にまで視野を広げ日本の領土を意識していた。出島のオランダ商館長らから世界情勢を学んだ子平は、海に囲まれた「海国」日本は海の防衛こそが重要と訴え、「三国通覧図説」や「海国兵談」を著した。鎖国をしていた幕府に外国による日本侵攻の危険を指摘し、国家の再構築、教育、産業の育成など世界を見据えた戦略的視点を持つことの大切さを説いたのだ。しかし、幕府からは世を惑わすとして罰せられてしまう。
作者は書く。「林子平の評価は時代によって乱高下してきた。しかし、果してその思想は十分理解されたことがあったのだろうか」と。混迷が深まっていく近年の世界情勢の中で、林子平という「奇人」の生き方と思想は、私たちに何らかのヒントを与えてくれるかもしれない。